スイス研修中講師の方にうかがったお話をまとめてみた。
地形、時間、空間、地質、及びそこに生育生息する動植物の複合体である。 約2億年前、4000mの標高を誇るBernerAlpen(ベルナーアルプス・・アイガー、メンヒ、ユングフラウ等)は海底にあった。アルプス造山運動により海底が隆起し、その後約2万年前のウルム氷期を経て氷河による浸食を受けて現在のようなU字谷の地形ができあがった。 →景観はいつも一定にない。時間とともに変化する。
景観の元をなすものである。基本としてその土地の地殻構成物質と気候により植生が決定し、植生により動物が生息可能となる。
・その土地の歴史(景観が生成された過程)をよく知ること。
・「風」「水」の「流れ」をどのように扱うか。(防風林、水制工)
その形態は、当初は石などを流れの中に投げ入れることから始まった。我が国でもコンクリートが大量生産される以前は、水制工が設置されていた。水制だけで機能させるのではなく、護岸、根固め、水制の3つを併用して効果が出る。

堆積作用の促進
水制と水制の間に土砂を堆積させる。
水制の背面に植生を発生させる。
水制の端部より河岸に向けて約6゚の流れが発生する
水制の間隔は L=2〜4l(曲線部 2l 直線部 3〜4l)
※水は最短距離を流れることに注意すること。水制を下流へ向けてはいけない。
※河積を阻害しないこと(河川構造令の阻害率以内)
※FIX POINTには洪水時に流されないものを置くこと。
大きくなりすぎる場合にはアンカー留、ワイヤ締めを行う。
◎まずは川の流れを見ること。流れを操るのが目的であり、石の配置はその手段である。
決して石の設置が目的ではない。
護岸基礎前面部に土砂を堆積させる役割
土砂の動きをコントロールする
土砂と高水をコントロールする役割
高水を水制に乗せない
この3つを巧みに組み合わせて使い分ける。
根固め工を非直線的に配置し、大きさもそれぞれ変える。
突出部に大きな石をおく(流速に抵抗できるもの)fix point
やや小さいもの(流れに抵抗できるもの)
水制と水制の間に空石積みの法覆い工、法先工を設置。
・街のコンセプトとは
他と同じものをそこに持ってくるのではなく、その街にあったものを作る。誰のための、何のための施設なのか。暗渠を掘りおこし、自然な形の小川へ戻す。流れを直線化せず、自然な変化をもたせる。
水の流れを「生かす」。ところどころに水流の変化点をつくる(瀬、淵、淀み)。通常の水位における水辺の境界点を多く設ける(流れの方向、速度、界面)。河床、河岸を守るためには、水際を守ること。流れに変化をつけて堆積作用を促進させる。コンクリート護岸等により直線化された流れは、流速が上がり法先洗掘、河床低下を招く。
川づくりは工事が終わっても永遠に終わらない。 無意識、非意識の中にさりげなく伝統の技を残す(石積みの技術など)。それが行政、研究者、専門家と一般の人の接点となる。
Usterにおいて
見た目の形状、魚族の遡上、蛍の舞う姿などが自然なのか?。一部の形態ではなく、自然(生態系)を丸ごと復活させること。そのためには、食物連鎖を作り上げる必要がある。河川における食物連鎖の底辺の生物を復活させ、その上位の生物が生息可能な環境をつくる。これがスイスにおける近自然河川工法である。これに対し、治水学的に土木工学(河川工学)は変化のない流れ、排水能力優先の全断面均一な流れ「等流」を作ってきた。
加速流、減速流、等流などの複雑な流れにより浸食作用、堆積作用が起きる。川底の掃流土砂を水平分布させる、川底をゆっくり動かす流れ、水際に土砂を動かす流れを作る。複雑な流れの中で水深0〜50cmの区域に水生植物を育成させる。そのための施設が水制である。
破堤のメカニズムを探ると、大きな原因として下の4つがあげられる。
水制設置後の川幅は、水制の長さを除いたものとする。
水制の設置により川の流れに生命を吹き込み、水の命、動きを取り戻す。
水制を川下に向けて設置してはいけない。治水上大きな問題が生じる。(河岸へ向けて加速流が発生する)